◆ブルーの雫

ノーフォーク・エッセンシャルオイルズ(NEO)社代表のKenさんに連れられ蒸留所に向かうと、ちょうどジャーマン・カモマイルの蒸留作業中だったようで甘いりんごのような香気が漂ってきました。

蒸留所は、巨大な農業用倉庫のような風情で、屋内には年季の入った3基の水蒸気蒸留釜が鎮座しています。


眼前のステンレス製の巨大な蒸留装置と甘い香気に少々興奮気味な一行に、早速奥さんのDebraさんが蒸留したてのジャーマン・カモマイル精油を見せてくれました。油水分離槽のバルブを開くと、手元の瓶の中へ出来立ての青い液体が流れ出します。

「きれいな青でしょ。ジャーマン・カモマイル精油の青はアズレンという成分の
色で、水蒸気蒸留の過程で発色するんですよ。」とDebraさん。

うまれたてのカモマイル精油はすこし角ばった香りで、まろやかでバランスが取れているという感じではありませんが、植物の生命力が第二の誕生を迎えたような力強さを感じさせます。


◆現場のチカラ

「実際に精油を蒸留する作業工程ををお見せしましょう。」とKenさんの声。

そこへカモマイルを満載した巨大なトラクターを自在に操りながら、娘のKimberlyちゃん登場。
なんとまだ高校生なのだが休みのときには作業を手伝っているのだそう。
Kimberlyちゃんが蒸留釜の蓋をクレーンで吊り上げると、Kenさんがショベルカーで釜の中にカモマイルを詰め込みます。

ひとしきり詰め込むと、彼女はゴーグルと命綱をつけて釜の中へ飛び込み、全体重をかけてカモマイルを押し込んでいきます。

以前、命綱をつけずに作業していて足元のハーブが崩れへこみ、釜からでれなくなっ
たので綱をつけるようにしたのだという。
この後、水蒸気でカモマイルを蒸し上げ、香気成分を含んだ水蒸気を集めて出冷却装置でさましてから油水分離層で精油と芳香蒸留水に分離すると先ほどのブルーの雫がうまれいずるのです。

繊細で神秘的な香りのうまれる現場としては、いささか豪快で肉体労働的な作業風景に石鹸づくりの現場を重ねあわせるユノカクルーでありました。

さて、お次は精油の母なる大地、NEO自家ハーブ農園に向います。

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