◆旅の途中

お盆も明けた夏の終わりに高知を旅してきました。九州出身の身ながら、お隣
り四国への上陸は今回が初めて。

高知の知人から土佐佐賀町に20年前から完
全天日塩を手づくりしているご夫婦がいるよとの情報に、旅の途中で足を延ばしてみることにしました。

完全天日塩とは火を一切使わずに太陽の熱と風の力でつくる自然海塩。
カツオの一本釣りで有名な土佐久礼で腹を満たし、土佐湾沿いの道を南下していると、突然、布がはりめぐらせた巨大なヤグラ状の木製建造物が海にへばりつくように建っているのが見えてきました。

◆手づくりの塩工房

傍らには、ビニールハウスが
隣接されています。道を挟んたログハウスで、塩の袋つめ作業中の吉田さん夫妻が時間を割いてくれ、作業工程を説明してくれました。

やぐら状に寒冷紗を張った建造物は、採かん装置と呼ばれる海水濃縮装置で、地元の間伐材で吉田さんらで手づくりしたそうです。太平洋の海水を溜めた地下タンクからポンプで汲み上げた海水を、寒冷紗を伝わせる間に、風と太陽の力で2週間ほどかけて5〜6倍に濃縮します。



◆太陽と風と手塩をかけて

この鹹水(かんすい)と呼ばれる濃縮海水をビニールハウスに入れ、さらに水分を蒸発させながら塩へと結晶化させていきます。夏場で2週間、冬場ならは2カ月をかけて、ゆっくりと、じっくりと。

ハウスの中は想像以上の温度と湿度で、夏場は午前中でも50度を超えるということで、作業はもっぱら夜明け頃から日の上がるまで。

結晶化させる間、何度も何度もかき混ぜ、最初に結晶となるカルシウムを核にナトリウムやマグネシウム、カリウム、各種ミネラル成分をバランスよく結晶化させていきます。

そうすると、マグネシウムの苦味とカ作業ルシウムの甘みを含んだ芳醇な塩になっていくというから、シンプルな工程とはいえ、手間と時間のかかる作業です。

◆海水は地球のスープ

「海水はいわば地球のスープ。この塩は地球のミネラル分がたっぷりですよ。

「この瓜につけて食べてみて。塩アイスも試してみてよ。」


実際、吉田ご夫妻のつくる天日塩は粒が大きくまろやかな苦味と甘みを感じます。本来の塩の味とはこういうものだったのでしょう。



◆天然の洗顔クリーム

ユノカの活動やらも交えひとしきりお話した後、天日塩と天然にがりを分けい
ただき帰ろうとした時に、

「これも何か石鹸の新しい素材にならないかしら?」

と、奥さんが見た目は塩のような袋を取り出してくれました。

塩結晶を取り除いたあとのにがり(苦汁)が再結晶化したもので、塩とは違いマグネシウムやカリウム分が多く食用にはならないが、ミネラル分も多く含まれるので天然の洗顔クリームとして重宝しているのだとか。

むむむ。これは使えるかも。

またも、ソーパー心をくすぐる素材との出会いに少
し興奮しながら、石鹸にできたらまっさきにおくりますね!と言葉を残し、土佐の塩工房を後にしました。

海のスープからソープが生まれる〜、などど駄洒落ながら車はさらに残暑の南国土佐を南下するのでありました。

●風と太陽に愛された完全天日塩 土佐の塩丸 については↓まで。
   製造者 (有)ソルティーブ 吉田猛 高知県幡多郡黒潮町佐賀49 Tel&Fax 0880-55-3226


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