「鹿児島の地は日本一のなたねの生産量を誇っていて、昭和20年代には搾油工場が300軒以上あったんです。 菜の花の季節には黄色い絨毯のようになたね畑が広がっていたそうですよ。 搾油した油は三輪トラックにのせて鹿児島の港に運ぶと、大手の会社の船が港に集まっていたそうです。」 二代目社長の和田久輝さんは静かに語ります。
「うちもなたね油専門工場として20年代半ばに創業し、鹿児島産のなたねで油を搾っていました。 昭和40年代になると食用油は作れば売れる時代になり、さらに価格の安いカナダ産やオーストラリア産が入ってくると、うちも国産以外にも手をだして搾るようになりましてね。 そのころから国産なたねの栽培量も激減しました。」
さらに、消包剤として苛性ソーダや脱色、脱臭のシュウ酸などの薬品を使うのだが、これらにも毒性がある。そして、油に残留する可能性を否定できないのだが、どれも最終食品には残存しない加工助剤として表示義務はないという。
一方、昔ながらの石臼を使った玉締め法や小型の圧搾機をつかったペラー式圧搾法は溶剤を使わず圧搾するので薬品が混入する危険がない。 ただ、搾油効率が悪い。ヘキサン抽出だと1日1500トン搾れるところが、圧搾法だと2トン、玉締めだと800kgがやっとだという。
農家の人が手塩にかけて育てたごまを、一切無駄にしたくないという思いが伝わってくる。
現在、移転してきた36、000坪もの広大な敷地に、アーモンド15、000坪、ごま畑3、000坪、椿山15、000坪を植栽する予定だという。
「あと3年で国産アーモンド油も搾取できる予定です。」
敷地を公園とし自社製品を活用したお菓子や飲み物、ソフトクリームなどを提供する構想も・・・と、和田さんの夢はとめどなく溢れてくる。
2010年秋、ユノカでは、無農薬有機栽培の国産黒ごま油を搾る際にでた澱(ペースト)を鹿北製油さんからお分け頂き、吉野本葛を晒す際にでた葛の泥実(未精製状態の葛水)で仕込んだ吉野本葛・黒ごま石鹸を企画。 石鹸名は鹿児島県にゆかりのある「黒葛(つづら)」に。 薩摩黒ごまと吉野本葛の出会いを肌で感じてみてください。 ◆鹿北製油さんのサイトはこちら。
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